2011年9月23日

「失敗」を「味わい」に

以前、新潟。燕の金属洋食器と「磨き屋一番館」のことを(ついでにぴかぴかに磨かれた「おちょこ」のことも)書きましたが・・・


その燕に、㈱セブンセブンという会社があります。

この㈱セブンセブンも金属洋食器やステンレス製まほうびんを手がけるメーカーです。

なんでもステンレス製まほうびんの工場はあらかた中国に行ってしまったので、今や国内で手がけているのはここだけになってしまったんだとか。

で、ステンレスやチタンの加工を行っているのですが、あるとき工場で出てくる「失敗品」に変わった模様が現れているものが多数あることに気がついたそうです。

それは、チタン二重構造の商品を炉に入れて真空にするときに、炉に入れる時間や温度の具合によって表面に「ムラ」や「でこぼこ」が発生してしまったものでした。

ステンレスポットのような、表面がつるつるした商品を主として作っている場合には、それは「失敗」です。

しかし、この「ムラ」や「でこぼこ」を特徴として活かすと味わいのある商品ができるのではないか・・・?




そうして生まれたのが、数年前のAPEC横浜会合で乾杯に使われ、当時の菅総理のサイン入り桐箱(笑)で引き出物に供された「チタン真空二重構造タンブラー」です。

写真は外苑前にある㈱セブンセブンのチタン製品販売ギャラリー「SUS gallery」です。
実は本日、お邪魔してきました ( ・∀・)

「燕」の「磨き屋」がイメージされると、または「チタンのタンブラー」というと、表面がつるつるぴかぴかなんではないか、と思われるのではないでしょうか。

ところが、ギャラリーに並んでいるタンブラー群は、みな表面が一様ではなく、むしろ一見「焼き物」のような味わいの商品となっています。

シルバーがいわば「基本の色」。そして表面の模様やかすかなでこぼこは炉の温度調整や時間調整により生み出されます。




もとは「失敗」から生まれたものでも、今度はそれを「味わい」にして「商品化」するには、今度はそのための品質の均一化や安定化といったところで、かなりご苦労があったようです。

また、写真にもあるとおり、現在シルバーの他に5色ほどあるようですが、この色はチタンの上に何か塗ったということはなくて、やはり炉に入れたときにチタンの表面にできる酸化被膜による光の屈折の度合いで、色が変わって見えるのだそうです。

だから、純粋に「チタン100%」製。そして、表面の色は均一ではなく角度を変えてみると微妙に色が変わり、また、1つとして全く同じ模様のタンブラーはありません。

そして、やっぱりおどろきなのが「チタン真空二重構造」であることの機能性。

まほうびんで用いられている技術なので断熱性がものすごく高く、全く外側に熱が伝わりません。だから熱いものも冷たいものも、いつまでもその状態を保つことができます。

以前、このタンブラーに熱いコーヒーをいれて出していただいたことがあるのですが、器を直接つかんでも全く熱くないので、その熱さがわからなくてうっかり舌をやけどしちゃった(笑)



こちらの写真は、その機能を活かした新商品「カップアイス用カバー」と専用のスプーン。

この中にハーゲンダッツのカップアイスを入れるといつまでも溶けずに美味しく味わうことができるわけです。

そして、この4色のカップとセットのスプーン。それぞれの色の飾りが持ち手の所にさりげなくついています。

奥のチョコレート色は新たに開発した新色だそうです。タンブラーと同じ発色技術を使っているので、色の開発は製造技術の開発でもあり、非常に難しいのだということです。




また、一緒に並んでいるスプーンも「燕の洋食器」の技術の粋を集めて作られていて、帝国ホテルのカトラリーも手がけた職人さんが、持ち手の部分や口に入れる部分のカーブ、大きさ、形を入念にデザインして作っています。

だから、先端部分がものすごく薄くできてるのにカーブがすごくやさしくて、これで食べるとふつうのスプーンがすごく無骨に思えてしまう・・・!


どれもこれも、ほしいなぁ~と思えるものばかり。
ギャラリーに来るのはこれで3回目ですが、毎回買おうかどうしようか悩んでは・・・でもお財布の中身と相談して、断念。

手は届きそうな範囲なんだけど、届かせるには悩んでしまう。そんなお値段です(笑)
うむむむ・・・ 悩ましいなぁ。


 SUS gallery : http://susgallery.jp/


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